真夏の夢

  • スマホ上の空論
  • 平山 紘介 コウスケさん

「スマホ上の空論」

もはや日記、ブログではない領域の「こうすけ日記」
本業よりもファンが多い今の現実・・
エッセイストの平山こうすけです。

今回は「真夏の夢」についてお話をします。

僕は「きっと楽しい」と期待をし、山道の高速道路の外を眺める。
お父さんがいる運転席からは、スピードメーターからの
キンコーン、キンコーンと音が鳴る。

「もっとスピードを落としてよ!」お母さんが怒鳴る。
車内には、花火の点火のような緊張感が生まれる。
「うるさいから、黙ってて」とお父さんも言い返す。

僕の家のお出かけでは、必ず小さな喧嘩が起こる。
窓の外には山が流れている。次も山、次も山。
「田舎に着いたら、きっと鮎が食べれる」そう思いながら
僕は寝ていた。

立秋が過ぎたら暦では秋ということを僕は知らない。

僕は、お盆の車の渋滞が夏真っ盛りの時と思っていたんだ。

僕は田舎に着くと、やっと開いた車のドアに開放感を感じた。
「着いた!よくわからないけれど」
アルコール中毒のミツオおじさんが「こうすけ来たな!」という。

いつもお酒しか飲んでいないミツオおじさんだけど、
いつも僕に優しかった。

なんで優しいのかも、今になってもわからない。
でも、ミツオおじさんは優しかった。そしておじさんは鮎を焼いてくれた。

子供の頃の思い出ってなんだろう・・
旅行ってなんだろう・・

僕にとっての夏の思い出は、楽しかったか、良かったではなく、
ミツオおじさんの鮎だった。

縁側が犬くさくて、従兄弟のお兄いちゃんの部屋は
プラモデルばかりで、どこか埃くさい居間が大きくて。

僕はどこで寝ていたのかも覚えていない。
でも「明日は川で遊ぶこと」を楽しみに僕は寝ていた。

いつの間にか、僕は寝ていた。

・・・・

僕はやたらと喉が渇いた。

この喉の違和感は最近も感じた・・トマト味の記憶・・

「はっ、危ない。また繰り返すところだった」
僕は前回も攻撃された扇風機の真下にいた。僕は寝ていたんだ。

ゲリラ雷雨。昔は夕立。
コロナ感染症。昔は夏風邪。
熱中症警戒アラート。昔は熱射病。

どこか夏の印象もすっかり令和色に変わったんだ。

けれども、もうすぐお盆休みが始まって、
例年通りの休みなのに、タイミング良く台風がやってくる。

打ち水も瞬間で乾くアスファルトの道路に、蚊取り線香を置く。

この時間だけは”あの日のままだ”

「今年は手持ち花火でもしようかな」

蝉が鳴けば、ミンミンゼミか?ツクツクボウシか?耳をすませる。

ジジジジジジと泣いてる虫はなにか知らなくて。
「ツクツクホーシッ!ツウツクインユーイ、ツウツクインユーイ」
とロカビリーのようなサウンドが僕らの夏なんだ。

少し前向きに、夏を楽しんでもいいかもしれない。

 

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心の解説者®︎・エッセイスト 平山 コウスケ

 

 

 

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この記事の投稿者 心の解説者®︎・フリーライター・資生堂外部講師 平山 紘介 コウスケさん
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