「売り出し方をつくるコーチング」
心の解説者®︎ 平山です。
あてもなく走る旅
Blogの読者さんからリクエストの多い
タクシーのおじさんのお話。
僕は今日も新しいおじさんの話を聞きたくて
食堂の駐車場にタクシーが停まっていないか
毎日ちょこちょこ確認をしている(笑
待てよ・・これじゃまるで僕がおじさんの
ストーカーじゃないか。
しかし、タクシーファンの皆さんのためにも、
いくらかおかしい必要不可欠な努力なんだ。
そして遠くを眺める僕の視線にタクシーの姿を目撃した。
大きな駐車場内に頭から車体をつっこむ駐車スタイル。
僕は、駐車しているタクシーを横目に大きなのれんをくぐる。
「いらっしゃい」女将さんの高い声が優しく響く。
「よっ!先にやってるよ」と頭髪のないおじさんがニヤッと笑う。
先にやっていると言っても昼食であって、酒を飲んでるわけではない。
「今日はお肉と大根ですか!いいですね」
と僕は伝えた。
「俺はさ、ご飯は何でも30分なの」というおじさん。
「おじさんは昼休み30分なんですか?」
「いや、休み時間は長いよ。お客待っている時間は
2時間くらい休み時間だからさ笑」
「朝ごはんは3時30分、昼が11時30分、夜が17時30分なんだ」
さらりと尋常ではなく早い朝食時間が飛び込む話をおじさんは言った。
「3時30分に朝食は、すごく早いですね」
「仕事が早いからね仕方ねーんだよ」というおじさん。
「そっか。おじさんは深夜から頑張っているんですね」
「いや仕事自体は6時だよ。起きちゃうんだよハハ笑」
おじさんはしっかりと変化球を入れてくる。
言葉の入口がゆっくりで、半ばから終わりにかけて重みのある口調のリズム。
こっちが思わず真剣に聞いてしまうのがいけないんだけれども、
曲がるんだよな〜おじさんの話は。
「女将さん!とり漬けください」
「とりね。ご飯はなし?」と聞いてくれる女将さん
とり胸肉の揚げ漬け。みぞれが玉ねぎで作られていて
味の染み込んだナスの美味しさは格別な料理。
おじさんと食事をしながら会話が再開する。
「さっきさ、銀行へ連れてく70くらいのじいさんがいてよ、
銀行に着いたら長蛇の列よ。もう新しいパチンコかとおもっちゃった笑」
と嬉しそうに話すおじさん。
「へー朝から銀行にそんなに人がいるんですね」と返す僕。
「15日だからね、年金だよ。だから言ってやったの、
タクシー乗るのとコンビニのATMでおろすのどっちが高いの?って」
おじさんの、あまりにもまともな考えに僕の表情が静止した。
「オレはさ、ずっと長距離運転手やってたんだよ。
日本全国行ったなぁ、沖縄と佐渡島以外。神戸とかのつまみ
は美味くてね〜酒がすすんじゃうから飲み過ぎたな笑」
とおじさんの昔を話してくれた。
「そうだったんですね、おじさんそんなに飲む方なんだ〜」
「いや酒はもういっさい飲まないよ笑、昔は一升瓶に
線を描いてさ、朝記憶ないからここまで飲んだって印付きよ!」
とジェスチャー付きで話すおじさん。
「鉄板とかの資材を運んでいたの。いっつも遠くに行って
酒飲んで、帰ってきては、遠くに行って。
そんなオレみたいになりたくなかったんだよ息子たちは・・」
と少し寂しそうに話すおじさん。
「話辛いところまで聞いてしまってすみません」
と申し訳なく話す僕。
すると女将さんが「お二人とも優秀で銀行さんとかよね」
と間に入った。
「いやー恥ずかしい。息子たちは成功しているからねハハ笑」
急に笑うおじさん。
えっ?順調で良かったけれど、なんか話の流れ的にそっちと思わなかった。
僕の心を返して・・
「僕の父が生きていたら、おじさんと同じ歳かな〜」
「そうか!あーウチの次男坊と同じ歳だね!」
「いや同じ歳でもこんなにフラフラしている僕はダメですよ」
「いーんだよ。人様に迷惑をかけなければ。
人生一回なんだからやりたいことをやらないと!
オレも寅さんのように自由に生きるのがしたかったよ!」
と話すおじさん。
寅さんの8作 寅次郎恋歌に
「農家の茶の間、灯りがあかあかとついていて、父親と
母親がいて、子供達がいて賑やかに夕飯を食べている。
これが、、、、これが本当の人間の生活というものじゃないかね、君。」
というのがある。
僕とおじさんは家族ではないけれど、
僕にとって経験のできない父親との会話の代わりを
してくれているようにも感じたおじさんの言葉だった。
「寅さんはいいよ!生まれてきて良かったと思う時がある。
そのために人間は生きている。っていうんだよな〜
あれはいいね〜」
とニコニコしながら話すおじさん。
僕らは一緒に食堂を出て行った。
肌に刺さるような寒さを感じる日々が続く中
温かい時間が流れていた。
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心の解説者®︎・構成ライター 平山 コウスケ
心の解説者®︎・構成ライター・講師・売り出し方・コーチング・心理・平山 紘介 コウスケさん